大阪市旭区の市営高殿西住宅の1室で、子ども食堂「ごはんの会」を初めて行ったのは、2016年8月のことでした。
それから、旭区役所の方々や旭区内でこども食堂を実施されている方々との会議が開かれ、今後のこども食堂の運営や経過報告などを話し合いながら進めており、現在も試行錯誤の段階にいます。子どもも数名ではありますが参加しており、細く続けることができています。そういった状況の中、初回の実施から5カ月が経ちました。
全国で取り組まれている多様な子ども食堂
全国各地で子ども食堂が開催されており、ブームのように見える方もいらっしゃるかと思います。実際、たくさんの子ども食堂が、様々な地域で催されています。そして、開催頻度や料金設定、対象、また開催する曜日や時間帯、また開催されている方の年齢や性別など、多様な食堂が存在しています。
そういった多様な子ども食堂のことを、「子ども食堂」と一言でまとめてしまうと、誤解が生じる可能性がでてきます。
なぜか?
それは、子ども食堂を始められる方々それぞれに思いがあること。そして、それぞれの地域に特色があることに起因しています。
子ども食堂は市民の方々の思いから生まれ出てくるものです。行政施策で一律に設置されるようなものではないため、まさに千差万別。唯一無二の子ども食堂が多々ある状況となっています。
動機や目的も様々です。孤食対策、食の提供、居場所、地域の拠点、異世代交流、お母さん、お父さんの悩みが言えるところ、楽しく過ごすことができる場所の創設、社会との接点としての食堂などなど、数えきれないほどの機能が挙げられます。
それぞれの想いを胸に、それぞれに取り組まれています。想いを実現する方法として、子ども食堂という形態をとられています。
「いい子ども食堂」とはどんな子ども食堂か?
メディアでは、子ども食堂が貧困対策として取り上げられることが多く、多くの方には子ども食堂=貧困対策という図式が成り立っていることでしょう。ただ、そういったイメージが行き着く先には、多くの子どもが利用する子ども食堂が「いい子ども食堂」だという一方的な評価につながりかねません。
しかし、ある子ども食堂が個々のつながりに重点を置き、多人数型ではなく、少人数型をモデルとして開催していたら、先の評価基準はまったく当てはまらないものになるでしょう。
理念をしっかりと持たれた方が食堂をされていたら、そういった評価を気にとめずに実施していくことができると思われますが、明確な理念を持たれていない方の場合、そういった評価によって続けることが困難になる可能性があります。
子ども食堂は、継続してこそ意義が果たされるものです。
前述した評価に揺さぶられることなく、細く長く行っていくことが求められるものでしょう。
地域とのつながりは欠かせない
子ども食堂は、子ども食堂単体として運営していく場合は特に、地域とのつながりは欠かせません。
子どもが参加していく上での小学校や中学校とのつながり。
運営していく上での、食材の寄付やボランティアの方々の支援。
社会福祉協議会など関係機関との連携。
他の子ども食堂との情報交換や意見交換。
様々な関係者とのつながりがあってこそ、成り立つものです。
関西こども文化協会が実施するに当たっても、例に漏れず、旭区役所の方々、旭区で子ども食堂をされている方々、社会福祉協議会の方々、学校関係者の方々、地域の方々、食材を寄附してくださっている千林商店街の方々など、様々な関係者の方々のご協力があってこそ、実施までいたることができています。地域の方々のつながりやご厚意を絶え間なく感じ、また感謝をしても尽くせないほどです。
我々の「ごはんの会」も、細く長く続けていきたいと考えています。灯った火を消さぬよう、子どもたちの居場所を作っていきたいと考えています。
中井健太(関西こども文化協会)