「大阪府放課後児童支援員  認定資格研修」実施報告

「子どもの最善の利益の保障」の実現に向けて

放課後児童クラブは、親が安心して働き続けられることを保障し、子どもは親のいない時間を友達や支援員(指導員)と一緒に楽しく生活する場です。

しかし、クラブの環境は「放課後の子どもの生活の場」としては不充分でした。そのため、2014年に厚生労働省令により「放課後児童健全育成事業の設備および運営に関する基準」が定められ、翌年3月には「放課後児童クラブ運営指針」が策定されました。

法令には「子どもの権利条約」の精神の遵守が明示されるなど、画期的な内容となっています。そして、2015年、全都道府県で「放課後児童認定資格研修」が義務付けられました。
関西こども文化協会はこの研修を大阪府より受託し、テキスト作成、講師選定等の準備を行い、11月に研修をスタートさせ、全7クール完了に向けて、毎月1~2回の授業を行っています。

求められる専門性

法令に明記された「子どもの権利条約」の精神は、各講師の授業によって確実に伝わっていきます。そのことが評価シート※に表れています。

また、この研修の大きな目的の一つは支援員の専門性を高めることです。

支援員には、「子どもと関わる力」「児童クラブを運営する力」「保護者や地域とつながる力」が求められています。保護者の中には、課題や子育てのしんどさを抱える人が増加しています。子どもと向き合うだけでなく、保護者支援も行わなければなりません。まさしく子どもが生活する場(家庭・学校・地域)全域とつながる必要性が出てきています。

しかし、専門性を求められ、責任が大きくなってもその身分保障は不安定です。
資格を与えるのであれば、その責任に応じた身分保障も必要ではないでしょうか。

※評価シート:授業の理解度をチェックするシート。何を学んだのか、理解したのかを記入する記述式になっている。

行政と児童クラブに関わる全ての人が「子どもが輝く放課後を創る」

「多くの子どもは家庭や学校の荷物が入ったランドセルを背負って学童保育に来ます。」

講師の一人はこのように述べました。家庭や学校で子どもの存在が大切にされにくい環境の中で、「児童クラブ」は子どもが安心できる「生活の場」でなければなりません。

「基準」や「運営指針」を行政と支援員のみなさんが一様に理解し、実現していく実践を各児童クラブが積極的に行い、行政はこのことを支援しなければなりません。このことによって、「子どもが輝く放課後」が実現するのです。

文:蔦田夏(関西こども文化協会)
「インファーノ」No.51(2016年3月15日発行)より